修飾辞について(音の法則)

複数の修飾を並べるときの注意点

例えば

  • 株式会社ABCの社員
  • 真面目な社員
  • 礼儀ある社員

をひとつの文章で表してみます。

  • a 「株式会社ABCの真面目な礼儀ある社員」
  • b 「株式会社ABCの礼儀ある真面目な社員」
  • c 「真面目な株式会社ABCの礼儀ある社員」
  • d 「真面目で礼儀ある株式会社ABCの社員」
  • e 「礼儀ある株式会社ABCの真面目な社員」
  • f 「礼儀ある真面目な株式会社ABCの社員」

並べ方に「絶対」はありませんが、読み比べてみると b が最もリズムよく読めます。
つまり、修飾が複数ある場合は、音の多い順に並べます。

株式会社ABC 13音
礼儀ある 5音
真面目な 4音

ところが例外もあります。それは、強調したいとき

強調したいとき

ものの性質や状況の重要性で、伝える順番も変わります。
礼儀ある社員であることを強調したい場合は、「礼儀ある」を頭に持ってきます。

リライト前

「礼儀ある株式会社ABCの真面目な社員」。


ただし、注意が必要です。このままでは礼儀があるのは株式会社ABCなのか、それとも社員なのかはっきりしません。
"句読点は適切に打たれているか"で説明した、意味を決定するテンが必要になります。

ここでは、「礼儀ある」の後にテンを打ちます。

リライト後

「礼儀ある、株式会社ABCの真面目な社員」。

句が入るとき

句は頭に持ってきます。

  • 株式会社ABCの社員
  • 真面目な社員
  • 礼儀ある社員

上の3要素に「地下鉄で通う」という句を加える場合は、音の法則に当てはまりません。
3つの要素では、b 「株式会社ABCの礼儀ある真面目な社員」 が適切でした。

b に「地下鉄で通う」を挿入してみます。

  • 「地下鉄で通う株式会社ABCの礼儀ある真面目な社員」a
  • 「株式会社ABCの地下鉄で通う礼儀ある真面目な社員」b
  • 「株式会社ABCの礼儀ある地下鉄で通う真面目な社員」c
  • 「株式会社ABCの礼儀ある真面目な地下鉄で通う社員」d

どれが最も読みやすいか一目瞭然です。(答え: a )